2009年9月中旬
筑波山のすその筑西市(旧明野町)来福酒造に訪問したのはちょうど稲刈りの真最中でした。
 


高速をおりて筑波山のすその筑西市来福酒造さんへ向かう途中、のどかな田園風景を見ながら

 「稲刈りも大分、進んでいるなー」

などと考えつつ走ていたら道に迷ってしまい、お約束の時間から20分遅れで到着。
先方にはいきなり失礼な第一印象となったことでしょう。


 ご挨拶もそこそこに販売課の深見さんに説明を受けながら蔵の中を案内していただきました。

まずは精米室へ。
すでに今年の新米の地元契約栽培の五百万石米が蔵入れされていました。
こちらの蔵では、精米機を備えてあるので100%自家精米だそうです。(玄米から精米機にかけ米を磨く)

次に仕込みタンクのある部屋へ。
驚いたのは仕込みタンクの多さです。100個以上あるそうで、特に小さい少量タンクの多さが目立ちました。
深見さんのお話では200Kgぐらいの仕込み(出来上がりが一升瓶で200本程)が多いとのことでした。
これを裏付けるように来福酒造はお米の品種や多彩な花酵母別で大吟醸をはじめ約40品目ものお酒を製造しています。

 100個以上のタンクが並んではいますが、多くの酒造蔵はそのままタンク貯蔵熟成させるのですが、来福酒造の貯蔵熟成はタンク内でおこなわず、瓶内熟成(1升瓶等に詰めてから貯蔵)の手法とっているそうです。


続いて麹室へ。
部屋の入り口上部には、しめ縄が飾られており酒質を決める大事な神聖な所への入室に、身が引き締まる思いです。

酒搾りの圧縮機(ふね)、貯蔵タンク、など一通り蔵見学をさせていただいた後、会議室で社長の藤村俊文(37歳)と酒談議。
来福酒造は、いままでの伝統継承だけではなく、とにかく新しいことにチャレンジしていくと真剣な面持ち話してくれました。

すでに商品の多さにもあるように、山田錦をはじめとする酒造米も10数種類、花酵母の研究、精米歩合に関しては9%台の超大吟醸、純米吟醸酒を濃縮しアルコールを25%まで上げた濃縮酒といろいろな日本酒の未来展望を模索しているようです。
 
その中でおもしろいなと思ったのが、米の精米をあげて90%以上米の表面を磨いてしまい(玄米600kgを磨くのに5日かかる)、9.2%ぐらいになった米で仕込む日本酒を試験的に取り組んでいるという事です。

9.2%は今年の話で、20%以下から年々精米歩合を上げていって出来上がる酒を試しているそうです。

磨けば磨くほど、きれいな日本酒が出来るそうですが、社長としては”40%前後”が米の旨み、香り、味わいの良い酒が出来るボーダーラインだと感じたそうです。
わかってはいるのだが、それはそれでたどり着く所までやってみたいとおっしゃってました。
 この試みからもわかりますが、探求心旺盛で、日本酒にかける情熱は次世代の清酒造りの、たのもしい担い手と感じました。
 



今回の訪問も、蔵元の酒造りに対する愛情、情熱をじかに感じられ、とてもいい勉強になりました。

来福酒造のお酒の全体的おおまかな印象は、香りと味のバランスが非常によく、のど越しも柔らかくふんわりと包み込むような印象です。
 
従来からの定番商品と、若き社長の指揮のもと様々な花酵母と酒造好適米の掛け合わせの商品を造られていますが、価格も他の商品とくらべてワンランク上の品質です。
 

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     来福酒造ホームページ⇒http://www.raifuku.co.jp/